in the morning rain

ロンドンに留学している大学生のブログでした

非日常すぎる日常 (5月3,4周目)

5月の3,4週があまりに非日常的な日々だったので、ちょっと記しておきたいと思う。そもそもロンドンで生活している時点ですでに日常が十分に非日常的なのだけども。以下ほぼ自慢↓

 

前回ここのブログに書いたように5月15,16日はブライトンのフェスThe Great Escapeでたくさんのナイスな音楽たちに触れた。そして翌日17日の日曜は観光日に当て、ブライトンからバスで1時間ほどのところにあるセブンシスターズという崖を見てきた。

f:id:helloLondon:20150526064206j:plain

セブンシスターズと聞いて、またこの写真を見てすぐにピンとくるあなたはイギリス映画好きでしょうか。そうです、ここは映画「さらば青春の光(Quadrophenia)」のあの有名な始めとラストのシーンの舞台です。モッズです、The Whoです。この映画を観たのはイギリスにくる前で、そのときは正直あまり映画自体ピンとこなかったので久しぶりにもう一度観たいな。感想が変わっているような気がする。

僕も青春の終わりと自分の凡庸さを受け入れるためにあの崖を登ってきました。なんてね(笑)。受け入れたくありませんね。

あの崖はチョークでできており、崖の上で膝をつくとズボンが白くなってしまいました。風は強かったものの崖の上からの景色は絶景。みんな同じかもしれないけど、やっぱり僕は人間が作った建造物よりも自然の産む風景に感動することの方が多いなぁ。

f:id:helloLondon:20150526202722j:image

天気も良かったし日曜だったので観光客は多かったです。ちなみこの海はイギリスとフランスの境のドーバー海峡。イギリスの最南端にいるんですね。海や空が合うような音楽を聴きながらビーチで寝そべっていました。ヘナちょこダンディズム。

 

 

あと、ブライトンがとても素敵な街だったので写真で少し紹介。

f:id:helloLondon:20150526070636j:plain

f:id:helloLondon:20150526070938j:plain

f:id:helloLondon:20150526071057j:plain

f:id:helloLondon:20150526071232j:plain

 

 

さてブライトン旅行のあとは二日間休み、そこからスコットランド旅行(5/20~23)へ。そしてこの旅行でもやはり音楽を。22日にグラスゴーで行われたBelle and Sebastianのライブに合わせて旅行を計画したという感じ。グラスゴーはベルセバの出身地であるということとプラス、この日はオーケストラとの共演ということで、半年以上前からチケットを取りずっと楽しみにしていたもの。

 

[初日]はスコットランドの首都エジンバラ(Edinburgh)に。夕方到着したのでこの日はこれといった観光はしていないが、ホステルで出会ったアメリカ人の若者とワインを飲みながら音楽の話をしたのが楽しかった。彼は初対面でいきなり、Hi, I'm Joseph, Do you wanna drink my wine?とかいって話しかけてくれたのだ。もちろんアメリカ人のなかでも彼は上位にフレンドリーなタイプだとは思うが、それでもやはりアメリカ人のこういうところは素晴らしい風習だし、見習うべき点だなと感じる。彼はホステルですれ違う人だいたいにHi~と声をかけていたし、それをされて嫌に感じている人なんていなかったしな。彼は世界を旅しているらしいのだけど、これならどこでもやっていけるよなぁと感心。実際彼はそんな感じで知り合った人(リッチらしい)にタダで一週間くらい泊めてもらっていたしな。

そしてたまたま彼がミュージシャン(ドラマー)だったのはラッキーだったし、彼の作品をたくさん聴かせてもらったり音楽の話をしたのは面白かったな。僕の英語は相変わらずダメダメだったけれども。

そして彼に「君の作品も聴かせてよ」と言われた時の切ない気持ちは忘れられない。僕はたいてい音楽のことで頭がいっぱいなのに、そのアウトプットを作品としてちゃんと形にできていない。これでは、はい、あなたはリスナーね、と彼らに線引きされてしまうのは当然である。けど自分的にはやっぱり切なかったなぁ。そろそろちゃんと形にしていかねば、と痛感。

その夜は彼とジャズバーに行った。ジャズバーなんかというシャレた場所にはあまり行ったことがなかったのだが、演奏していたのはフォークやブルース、ロックみたいなものだった。ジャズミュージシャンたちによるひたすら長い即興ジャムなんかを期待していたのだけどね。日にもよるんですかね。でもそこで観たバンドも弾き語りもめちゃくちゃレベル高くて、とても良い演奏を観れたので満足。入場料とかも無料っていうのがすごい、ミュージシャンたちは観客からのチップが収入なんでしょう。お客さんたちは地元の人ばかりだったように思うのだけど日常的にこのレベルの演奏に触れているというのはすごいことだなと感じた。ロンドンなんてもっとそうだろうけど。ちょっとジャズクラブ的なものをロンドンでも探してみようかしら。

f:id:helloLondon:20150526093006j:plain

 

[2日目]

博物館やギャラリー、丘に登ったり観光地の定番を回った。エジンバラは街並みが美しくて歩いているだけでも楽しかった。古くから建っているんだろうなと思わせるような空気を漂わせるな建物が多い。あと僕ゴシック建築?好きなので(適当)楽しかったです。

ちなみにアダムスミスはこの街出身なんですね。立派な銅像が立っていて、経済学部生の僕としてはもう興奮して仕方がなかったですね。見えざる手よ~ 見えざる手よ~ ってね。(それしか知らない) あとはJKローリングさんもこの街でハリーポッターを書いたとか。ちゃんとその彼女が第1巻を書いていた場所と言われるカフェに行ってきましたけどね。いちおうハリポタ世代なので。

f:id:helloLondon:20150526093218j:plain

f:id:helloLondon:20150526093440j:plain

f:id:helloLondon:20150526093529j:plain

 

一人旅は自由に回る場所を決めたり、思いつきで計画を変えたりと、融通の利く旅行ができるというメリットがあるのだが、夜になると一人旅はけっこうやることがなくなってしまうという問題がある。夜になると観光地は閉まってしまい、一人でちゃんとしたレストランなどに入るのはちょっと気がひけるし、あまり見知らぬ土地で夜に一人でうろうろする気にもならない。というわけで僕は... 

 

はい、またライブに行ってきました。ネットで調べたらその日エジンバラでHoneybloodというグラスゴー出身の女性二人組バンドのライブがあることを発見したので行くことに。Honey Bloodはついその前日にFoo FightersのUKツアーの前座に参加することがアナウンスされたばかりということで、いま熱いバンドだったのでラッキーでした。

こんなバンド↓


Honeyblood - Super Rat - YouTube

いかにもインディーロックであります。演奏はサポートなど入れず、ギターボーカルとドラムの二人だけ。ドラマーが最高に良かったであります。女性の叩くパワー系ドラムはいいですね。MCでもフーファイのサポートのことを話していて、いまこんな小さい会場で目の前でやっているバンドが来月にはスタジアムとかで演奏しているのかと思うと僕も今日出会ったばかりのバンドだけどなんか親?みたいな気分に(笑)。それが決まったとき彼女ら相当嬉しかったろうなー。

 

ところでイギリスではこの前座の制度が日本よりもしっかりと機能しているような気がする。こっちでライブにいくとほぼ必ず前座が二組ほどいる。だから本アクトのライブの開始時間は9時半とかで、これは最初こっちに来た時驚いた。(日本だとだいたい7時半とか?) もちろん会社帰りのお客さんが観られるようになどの配慮もあるとは思うのだが、この前座の場がしっかり若手アーティストに演奏の機会が与えられ、認知されるチャンスとなっているのはいいことだなと思う。もちろん観客としてもたくさん観られる方が楽しい。

f:id:helloLondon:20150526093120j:plain

 

 

[3日目]

朝から観光の定番、エジンバラ城とスコッチウィスキー博物館を見学。エジンバラ城の中には牢屋があったり軍の博物館があったり、財宝?が飾られていたり。こういうときに世界史とかイギリスの歴史がわかっていないとツラい。僕は全くわからないので、これ色々わかってたらもっと楽しいんだろうなーとひたすら感じていた。ちょっとイギリス史勉強する気がでました。せっかくイギリスにいるのだから大きな流れくらいはわかっておきたい...

ウイスキー博物館は楽しかった。アトラクション型の乗り物があったり試飲させてもらえたり。スコッチウイスキーのなかでも産地によってけっこう味が違うんですね。嗜み方も指導してもらえる。ウィスキーの色も楽しむのだとか。

f:id:helloLondon:20150526092903j:plain

 

f:id:helloLondon:20150526092804j:plain

 

さぁこれが終わると、いざベルセバのためグラスゴー(Glasgow)へ。エジンバラからは電車で1時間ちょっと。ちなみに同じスコットランドだけど二つの都市は全然違っていて、グラスゴーは工業都市として栄えたことから、もっと街が全体的に灰色な感じで、ちょっと治安も悪め。エジンバラが思いっきり観光地っぽいのに比べ、グラスゴーは生活感がある感じ。でも音楽ファンからしたらグラスゴーっていうのはUKロックを語るには外せない場所で、Belle and Sebastianはもちろん他に、Franz Ferdinand、Primal Scream、Travis、The Fratellis、などのバンドのホームタウンであり、グラスゴーのシーンっていうのがちゃんとある場所みたいですね。クリエイションレコードの創始者アランマッギーもグラスゴー出身。

というわけで特に観光地もないし(ちゃんと探せばあるんだろうけど)、ベルセバのライブまでは時間あるし、ということでネットで色々調べていると、なんとここグラスゴーにはあのオアシスがアランマッギーに会ってクリエイションと契約したといわれているライブハウスがあると!

というわけで行ってきました。場所はGlasgowの中央駅から歩いて15分くらいのKing Tut's Wah Wah Hutというヴェニュー。いまでもグラスゴーの名店として、若手の登竜門的な場所として機能しているようだった。スケジュールを見ると一ヶ月毎日埋まってしたし、名前を耳にしたことのあるバンドもちらほらと。店の中にはこれまでここに出演した数々のビッグネームたちの名前が。併設してるバーでフィッシュアンドチップスを食べながら、ひとり感慨深い気持ちになっておりました。ここでRock 'n' Roll Starを演っていたのか、と初代ドラマーのトニーマッキャロルに想いを馳せていました。

ところで最近いまさらになって気づいたのですが、オアシスの1stに入っているColumbiaという曲めちゃよくないですか?いまあまり関係ないですが。でもやはりあの頃のノエルギャラガーのソングライティングは本当凄いしリアムの歌も上手い。ノエルはいまでもいい曲たくさん書いてるけど。ノエルのソロも皆さん聴いてますか?新作も良かったですよ。

f:id:helloLondon:20150526104037j:plain

ここで若き日のギャラガー兄弟が... 

 

 

さぁちょっと気持ちがOasisモードになっていたところでベルセバに切り替えです!

グラスゴーでベルセバ、withオーケストラ。これは最高に決まってますよね。実は去年の10月頃にロンドンでベルセバのキーボーディスト、Chris GeddesさんのDJに行った時に彼にお会いしていて、そこで小便を並んでしたり、ライブ行きますって伝えたりしているという、いい思い出が。さすがに覚えてくれているかはわからないけど、すごく優しくていい人で、まさにベルセバの音楽のようでした…。なんてね。

そんなときから楽しみにしていたライブ、やはり最高でした。なんというのだろうあのステージを眺めていて幸せな気分になってにやけてしまう感じは。多幸感、ともまたちょっと違っていて心が温まる感じ。フロントマンのStuart MurdochもコーラスのSarah Martinも二人とも本当に良い歌声だった。オーケストラとロックバンドのライブというものは初めて体験したのだけど、やはり生の弦楽器隊の音圧や、繊細な表現はベルセバの演奏をより色彩豊かなものにしていたし、アレンジなどもより原曲に近い再現がされていたり、また原曲にはないアプローチなども加えられておりとても豪華なものだった。

やはりオーケストラが加わっているせいか全体的に少々音量が小さめだったのは少し気になったがそれにしても、もう最高という言葉しか思いつかないようなライブであった。本当名曲だらけなんだよなぁこのバンドは。 

あ、そういや今年フジロックにも出ますね!観るしかないですよ!


Belle and Sebastian performing "My Wandering ...

 

f:id:helloLondon:20150526103953j:plain

 

 

 

さぁこんな風に非日常的ともいえるくらい楽しい毎日が続いているわけだが、これがまだ終わらない!

次の日(5/23)は早朝ロンドンに戻り、そのままの足で引っ越し。これまで住んでいた学生寮に期限が来たので、別の寮に移動。優しい友人の助けを借り、地下鉄と徒歩で移動。めちゃめちゃに疲れたものの無事引っ越しが完了し、しかも以前はロンドンの中心からかなり離れた場所にすんでいたのがいまはもうまさにロンドンの中心だし、ロンドンでもイーストロンドンというちょっとオシャレでアーティスト系の人とか若者が住み着いているエリア。あのRough Trade Eastにも歩いて行ける!という自分的に最高の立地。残り2ヶ月ここを精一杯楽しみたいと思う。

 

さぁそして翌日(5/24)はなんとロンドンでPaul McCartneyを観にいってきた。

説明はいらないだろう。こんなの最高に決まっている。ビートルズが生きた街ロンドンでビートルズの曲を聴いているのだ。オーディエンスにはイギリス人のおじいちゃんやおばあちゃん達、当時少年少女だったこの人達とポールの音楽を共有している感動。

セットリストは2013年の来日公演とほとんど変わらなかったけど、そのときはやってくれなかったCan't Buy Me Loveをやってくれたり、やはりイギリスなので曲間での喋りが長かったりと東京ドームで観たときと違う楽しみがたくさんあって良かった。

個人的に良かった曲はHere Today(ジョンのくだりはやはり泣ける)、Queenie Eye(新譜からの曲、いまだに現役として世界で最高のソングライターの一人だよポールは)、Can't Buy Me Love(イントロが鳴った瞬間あのよくビデオで映る当時のキャーキャー叫んでる女の子達の気持ちがわかった)、Band on the Run(曲が良すぎる最高)、Hey Jude(シングアロングは最高)、あたりでしょうか。Queenie EyeにしてもNewにしてもHope For The Futureにしても最新の曲が良いっていうのは本当にすごいことだ。ポールの時代感覚は、最近カニエウェストとかと共作もしていたように、常にアップデートされているし、それにあのメロディーセンスが加わるからもう敵なしなんだよな。もちろんステージパフォーマンスも72歳とは決して思えないもので、何もかにがすごすぎるよポール。あ、あとあのバックメンバーたちも相変わらずみんな良かった。ちなみにThe O2はロンドンにある巨大なアリーナ施設なのだが、あれほど大きい会場でそれぞれの楽器がクリアに聴こえ、音がとても良かったのが驚いた。一緒に行ったイギリス人の友人も絶賛していた(もちろんポールのことも!)。とにかくイギリスでポールマッカートニーを観ることができるなんてもう夢のようでございました。

f:id:helloLondon:20150526115350j:plain

f:id:helloLondon:20150526115232j:plain

 

 


Paul McCartney - Queenie Eye (Official Video) - YouTube

 

 

 

このように5月中盤はブライトンでフェス、スコットランド旅行、ベルセバ、ポールと最高のイベントが連続で起き続ける、というすごい期間であり、まさに非日常的なことが日常的に起きてしまっていたような感覚。

これを読んでくれている日本の友人たちor顔も知らないあなたはひょっとしたら、もうこの辺で(いやもっと前から)僕のことをちょっと嫌いになってしまっているかもしれない。僕も逆だったらそう思ってしまうかもしれない。なんせ僕はあまりにも恵まれているし楽しみすぎてしまっている('楽しいこと'は人それぞれ違うのは承知だけどそれにしても)。自分でも自分がこんな幸せな経験を享受するに値するのかと疑っているし、実際ちょっと罪悪感的な感情を感じでしまうときもある。ただもうこれはもうこれらの経験を将来への投資として考えるしかないと納得し、いまの自分をサポートしてくれている人たちに必ず恩返しをするつもりで日々頑張るしかないと思っている(真面目だよ)。これらの経験をただ'楽しかった'で終わらせてしまってはいけない。どうにか自分の成長の糧、血肉にしていかなくてはなぁと。ただやはり、このような経験はただ楽しんでいるだけで成長もなにもないだろうと思ってしまうこともある。しかしそれでもやはり、いまここできることをやっておかないと将来振り返ったときに後悔してしまうような気はしてしまっているし、それは時間であったり若さであったりで、お金やなんかではどうにもならないことなんじゃないかな、と生意気ながらに考えてていたりする。

まぁとにかくそんなこんなで2週間のうちフェスに行ったり旅行をしたりして、そのあとベルセバ、ポールという大好きなバンドたちのライブを観るというように、イギリスを大満喫してしまっているわけです。そしてこれは今後もノンストップで続きます、明後日からはマンチェスターとリバプールに行ってきます。またブログに書くかもしれませんね... では、また!


※  5/28 正確な表現のため若干文章を訂正。