in the morning rain

ロンドンに留学している大学生のブログでした

エジプトより

しばらくこのブログを書くのをストップしていた。ただ、それでもブログのアクセス数をみていると、このページをチェックしてくれている方が少数ではあるがどうやらいてくれているようで、嬉しいことである。ありがとうございます。
書くのをやめていた理由としては、7月の終わりにはこのイギリス留学が終わってしまうということで、残り少ないここでの時間を部屋でパソコンに向かってこれを書くことに費やすのはどうなんだろう、と思っていたことが一つ目の理由。他人に公開する前提で文章を書こうとするとけっこう時間がかかるのだ。
二つ目の理由としては、最近自分の書く記事がつまらないものになっていたから、ということだ。つまらない、というのは読んでくれた方がどう思ってくれているかはわからないが、書いていてつまらなかったということだ。当初、自分の日々の中で感じたことなどをただなんとなく流してしまうのではなく、しっかり自分のなかで咀嚼し、アウトプットすることでそれを自分の血肉にできるようにとブログを始めた。そしてそれをする過程では必ず自分の中である程度調べ物をしたり、深く思考したりすることを要する、つまりブログを書くたびに頭を使わなければならない。これが最近の記事では、あまり頭を使うことをせずに書けるものになってしまっていたので、単純に自分の書いたものに嫌気がさしてしまってブログから離れていた、というもの。これが二つ目の理由。
3つ目としては、ブログを書くための日々の生活や旅行になってしまっては、あまりに寂しいし、そうならないようにしていたということ。このことを感じるのは特に旅行をするときだ。ブログに書くことを前提で旅行をするのはなかなか面白くない。ブログに載せるための写真を気にしたり、ブログのために目的地を設定したり、美術館を回っているのにその感想を書くブログのことを考えていたり。それは見知らぬ地を訪れるせっかくの機会の過ごし方としてはたして正しいのか疑問である。そんなことに煩わされずに目の前のものにしっかり向き合いたいものだ。自分がここまでひどい状況だったわけではないが、もし毎回の旅行や日々のイベントを逐一ブログで報告するようになってしまっていたら、このようにブログに煩わされてしまっていたのではないかと思ったため、ブログを書くのをやめていた。これが3つ目の理由。そもそも日々の生活や旅行先で出会ったものを書きたい、書くべきだ、と感じたらそれを言語化する努力をすればいいわけで、ブログを書くことを前提に何かを見ようとするとそれと正直に向き合えなかったりするものだ。二つ目の理由とも重なるが、これは当初自分がブログを始めた目的とはかけ離れてしまう。

ネットの世界はブログで溢れているが、その目的はそれぞれの書き手によって違う。だから僕は彼らブロガーたちを批判しているわけではなく、いま上で書いたことはただ自分の個人的なことを書いたに過ぎない。ブログなんてほとんどの人は好きでやっているのだから、みんな書きたいことを書いて自分がそれでハッピーならばいいのではないかと思っている。

では、なぜ止めていたブログを再びここで書いているか、それはこのブログをチェックしてくれている人たちが少なくはあるがどうやらいるようだ、ということを受けて、その人たちに上に書いたことを伝えたかった、ということ。そして、今後も同様の理由でなかなか更新されることが望めないのでそれをお伝えしておくべきだろうと思ったからだ。
それに加えて、ここでやっと触れるのだが、自分はいまエジプト、カイロにいる。そして、いままだ夕方であるが宿にいて、それも時間を持て余しているので、文章を書くには良い機会かなと考えたからだ。時間を持て余している理由については下のエジプトの軽い報告の中で触れることにする。 
エジプトには4泊5日のカイロのみ、というちょっと物足りなさげなプランで滞在している。エジプトにはカイロ以外にもルクソールやアスワンを始めとし、たくさん訪れるべき場所があるため本当は数週間かけてじっくり回るのがよい。しかし、現在のエジプトの情勢の考慮と、残り少ないロンドンでの時間もまた大事である、という理由で、短い旅行に決めた。
2011年にアラブの春で、独裁政権であったムバラク政権が民衆の革命により倒れ、しかしその後選挙によって選ばれたムスリム同胞団による政権は権力の味をしめたような公約無視などひどいもので、再び軍がクーデターにより権力を取り戻した。そして、その後もずっと軍(政府)と同胞団による対立が続いており、同胞団によるテロなどが頻繁に起きている、というようなかなり不安定な状態であった。そしてそれが落ち着いてきたころ、エジプトへの観光客の数も戻り始めたころにイスラム国(ISIS)がでてきて、またエジプトが観光客が安全して来られる場所でなくなっているというのが現状であろうか。
とそのような状態であるため、いまエジプトにただピラミッドがなんとなく観たい程度の軽い気持ちで来るべきではない、とは当然わかっていたし、相当迷ってはいたのだが、もともとエジプトは小さい頃からずっと訪れたい場所であったし、やはり日本から訪れるのとイギリスから訪れるのではコストも時間も全然違うため行くなら今だろう、という考えが勝り短い日程でもいいのでさっと観てさっと帰ろうと考え旅行を決めた。
で、実際来てみた印象はというと、やはりここで生活している人は大勢いるわけで、エジプト人たちは普通に暮らしているし、怖くて街をひとりで歩くことはできない、などというものではない。しかし、街のところどころに大きめの銃を抱えた警察がいるし、考古学博物館の前には戦車が配備されているし、というような状況でやはり緊張感が伝わってくる。まぁ博物館はカイロ一番の観光地であるため彼らが観光客を守ってくれているわけだが。
そしてやはり、滞在二日目の夜にはカイロでムスリム同胞団の摘発のトップだった検事総長の暗殺のための車両爆破テロが起こったし、今朝のニュースではシナイ半島という場所でイスラム国が検問所を襲撃して市民含む35人以上が殺害されていると報道しているわけで、全く気を抜くことはできない。
(追記: 午後のニュースによると、検問所で殺害されたのは70人以上で、それを受けエジプト軍がイスラム国傘下の武装組織を少なくとも100人以上殺害したと発表しただとか。シナイ半島恐ろしすぎる…)

というわけで、滅多に来ることのできない場所に旅行をしているのだから本当ならできる限り名所を訪れたり街を歩き回ったりしたいところなのであるが、今日は昼から夕方まで考古学博物館を見学し、そのあとはもう宿でゆっくりする、という過ごし方をしている。
で、旅行の目的であるエジプトの観光はどうだったか。これはもう素晴らしかったの一言につきる。少しリスクを犯してまでも来てよかったと心から思っている。ピラミッドの内部はこんなものをどうやったら作れるのか、と構造に衝撃を受けたし、ツタンカーメンの黄金のマスクは一度みたらその場から離れられないような強烈な魅力のあるものであった。実際自分は二日連続で考古学博物館に通ってしまったくらいだ。この博物館の展示の豪華さは本当にすごい。
このような物騒な状況であるため、観光はピラミッドと考古学博物館(2回行ったけど)しかできなかったが、十分な満足度である。今回は断念したカイロ以外の街にもいつかチャンスがあれば再チャレンジしたいとは思う。。いまの状況では困るのでエジプトの安定が一刻も早く戻ってくることを祈る。
エジプトで観たものの感動について書き始めると、また長くなってしまうし、それは今回文章を書き始めた動機ではないためこれ以上は書かないが、とにかくピラミッドの中と特に考古学博物館は素晴らしくて、期待以上のものだったことは強調しておく。

では最後に少し関係のないことを書こう。いま泊まっているのは日本人宿のドーミトリー(共同部屋)である。このような場所は日本人がいて安心感があり、低価格で泊まることができるため、大抵たくさんの世界一周旅行などをしている旅人たちが滞在している。自分のような行って帰ってのただの旅行者はけっこう珍しいケースで、ここで出会うひとたちは大抵世界一周など長期の旅人たちだ。
この滞在期間中、そのうちの何人かと親しくなって、情報交換をしたりお互いの話をしあったりした。こういうのはこのような場に泊まるひとつの楽しみであったりもする。彼らの旅の話などを聞きながら、それと自分の留学生活の中でも思っていたことが重なり、いまはっきりと感じていることがあるので、それを書いてみる。

それは、環境に期待しても自分は変わらないし、結局自分を変えたり高めたりするのは自分が努力するしかない、ということだ。
僕は高校時代は大学に行ったら何かが変わる、楽しくなる、と絶対的に大学生活に期待をして、高校時代の'いま'というよりも、未来の大学生活への期待に生き、黙々と大学受験の勉強をこなしていた。そして実際大学に入ると、今度はイギリスに行ったら何かが変わる、と留学への期待に依存しながら惰性的な大学生活を送っていた。しかし、やはり大学に行ってもイギリスで生活をしてみても自分は自分で、その新しい環境に入ることによって自分や人生が急に良くなったりするわけではなかった。考えてみれば当然のことであるのだが。もし、誰かがどこか新しい環境に身を置いたことによって何かを得たり人生がよくなったとしているのであったとしたら、それはその人がそこで何かしらもがいたり努力したりしたからである。環境自体は自分を変えてはくれない。ただイギリスに住んでいるだけで勝手に英語が話せるようになるわけでもなければ、考え方やものの見方が良い方向に変わってくるわけでもないだろう。同じようなことで、世界一周の旅にでても、そこで自分自身が頭を使って頑張らなくてはおそらく自分も人生も何も変わらないだろう。逆に日本にいたって、いまいる環境で努力次第で自分は変わったり人生をよくしたりすることはできるだろう。
このようなことがいま自分が痛感していることである。

留学生活がほぼ終わり日本帰国までもう間もなくとなったいま、これからどうしていこうか。未来や新しい環境への期待に依存するのではなく、目の前のことにしっかり向き合って努力して生きていきたいものだ。自分が怠惰であることはもう痛いほどわかっている。
努力することほど難しいことはない、というものだ。

そんな感じで少し話がそれたが、最初に書いたような理由で、しばらくブログは休むのではないかと思う。もしかしたらまた書くかもわからないが。自分のためでもそれ以外でも書く必要を感じたら書くだろう。

これまで読んでくれていた方はありがとうございました。またそのときまで。
日本の友人たちは帰国したら会いましょう。
では2015年7月1日エジプト、カイロからでした。